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恋歌 朝井まかて

『恋歌』
朝井まかて、講談社文庫、2015年

 初めて読む作家の本、大阪出身の女性&直木賞受賞作というのに惹かれ読みました。凄い本だと感動です。しばらくこの作家の本を追いかけると思います。

 講談社BOOK倶楽部に紹介されたあらすじは「明治の歌塾「萩の舎」で樋口一葉の姉弟子に当たる三宅花圃が目にした手記には、師である中島歌子の心の声が刻まれていた。人気歌塾の主宰者として一世を風靡し多くの浮き名を流した歌子は何を思い、胸に秘めていたのか。中島歌子は、幕末の江戸で熱烈な恋を成就させ、天狗党の志士に嫁いで水戸へ下った。だが、尊皇攘夷の急先鋒だった天狗党はやがて暴走する。内乱の激化にともない、歌子は夫と引き離され、自らも投獄され、過酷な運命に翻弄されることになる。

“君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ”
代表歌に込められたあまりにも切ない真情。そして、歌子が下したある決断とは──。」です。
 三宅花圃の役割が読んでいるときはあまりピンとこなかったのですが、読み終わった今は話の流れを整理する重要な役割として不可欠の人だったのだと納得しています。
 主人公の中島歌子の壮絶な人生をハラハラドキドキしながら読みました。幕末から維新という激動の時代に水戸藩の人達がどう生きたのかここまで克明に描いた本はこれしか無いと思います。そして、「勤王攘夷」という時の流れに振り回された日本の実体を、ここまでリアルに描いた本を初めて読んだような気がします。


(http://prizesworld.com/naoki/jugun/jugun150AM.htm)

朝井まかて(あさい・まかて)

昭和34年/1959年生まれ、直木賞受賞年齢 54歳、経歴 大阪府羽曳野市生まれ。甲南女子大学文学部国文学科卒。広告制作会社を経てコピーライターとして独立。平成20年/2008年に小説現代長編新人賞奨励賞を受賞して、作家デビュー。

第3回小説現代長編新人賞[奨励賞](平成20年/2008年)「実さえ花さえ、この葉さえ」本屋が選ぶ時代小説大賞2013(平成25年/2013年)『恋歌』
第150回直木賞(平成25年/2013年下期)『恋歌』
第31回織田作之助賞(平成26年/2014年)『阿蘭陀西鶴』
第3回Osaka Book One Project(平成27年/2015年)『すかたん』


(http://coffeeandchocolate.hatenablog.com/entry/2014/02/05/183657)

第150回直木賞(2013) 『恋歌』 朝井まかて著 あらすじ(ネタばれあり!注意)

 幕末の江戸。主人公の中島歌子は実在の人物で「たけくらべ」で有名な樋口一葉に和歌を教えたことで知られる。
 中島登世(歌子の昔の名前)は江戸の宿屋、池田屋の娘として生まれる。池田屋は水戸の御定宿の指定を受け、繁盛を極めていた。
名のある商家の娘として暮らしていた登世は、ある日林忠左衛門以徳という剣士と出会う。怒りっぽい、理屈っぽい、荒っぽいの”三ぽい”と陰口をたたかれる水戸者のなかで、静かで美しいその剣士は登世に淡い恋心を抱かせた。ある事件が元で登世と林は再開する。登世は自分の恋心をはっきりと意識し、数多く持ち込まれる縁談も気が進まない。登世の母は、そんな登世の気持ちも知った上でたくさんの縁談を持ち込んでいたのだった。 そんなある日、桜田門外の変が起きる。林はけがをしており襲撃に参加できなかった。再び会うことができた二人は結婚を決める。
 登世は水戸へ嫁いだ。尊皇攘夷がお家芸の水戸藩も一枚岩ではなく、天狗党と諸生党が対立し、一触即発の状態だった。攘夷を実行に移すべく天狗党の一員、藤田小四郎(藤田東湖の四男)が中心になって天狗党の乱がおきる。天狗党の一党が弾圧される中で、歌子は夫と引き離され、自らと義妹も投獄され、過酷な運命にさらされる。
 牢から出ることができた登世と義妹てつは、危険を覚悟で水戸を出奔する。身一つで水戸を出た二人は登世の母を頼り、名前を変えて江戸に居を構える。
 歌人としての修行を開始し、十年ほど経過するころには歌壇に認められ、家塾を開き、名前も「う多」と変えた。 ある日、出奔したう多(登世)と義妹てつを案じて、天狗党の仲間がう多を訪ねてくる。生死のわからなかった登世の夫、林以徳は戦病死していた。 老境を迎え、歌は病の床に就いた。う多には妙な心がかりがあった。若いころから使えてくれた使用人の澄と、天狗党を弾圧した首謀者である市川三左衛門の娘のことである。後年天狗党は名誉を回復し、諸生党に血を血で洗うような復讐を行っていた。首魁である市川三左衛門は捕えられ、妻子まで処刑されていたが、一人だけ娘の行方がわからなくなっていた。もしかして、同一人物ではないだろうか。う多はその遺言状で、天狗党と諸生党の復讐の連鎖にけじめをつける。

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